いざや見に行かん

- 2019/03/27 カンドーミュージック
古今和歌集にこんな歌があります。
『世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし』
直訳すれば、『この世の中に桜が無かったら、春を過ごす人の心はもっとのどかだったでしょう』と言う感じです。
そこに込められているのは、『春はのどかな時期であるはずなのに、
人々は、桜はいつ咲くだろうか、いつ散ってしまうだろうかと落ち着かない。
桜はそれほどまでに人々の心を掻き立てる魅力的な花だ』。
否定しながらも桜を讃える、在原業平(ありわらのなりひら)の名歌です。
桜 さくら
さて桜を愛でに行きましょう。
桜をテーマにした曲は山ほどありますが、今も各小学校では、伝統的な日本古謡、
あの『さくらさくら』を教えているでしょうか。
作者不明のこの曲は、ウイキペディアによれば、幕末、江戸で子供用の箏曲の手ほどき曲として作られており、つまりインストゥルメンタル。歌詞はのちにつけられたそうです。
さくらさくら やよいの空は 見わたす限り
かすみか雲か 匂いぞ出づる
いざやいざや 見にゆかん
日本特有の四季を感じるとても良い歌詞で、日本の象徴花である桜を見事に表現しています。
日本の歌曲では他にも『荒城の月』が好きなんですが、
『赤とんぼ』同様に、心が落ち着きを通り越し、暗く寂しくなってしまいます。
その点、この『さくらさくら』には、春の訪れ、
冬と言うトンネルを抜けた開放感、その後にやって来る、
1番好きな季節への期待感も相まって、非常に穏やかな気持ちで聴くことが出来ます。
SANDII 【SAKURA】
そんな『さくらさくら』をとてもカッコ良くアレンジして世に出してくれた方がいます。
今やフラ界では重鎮として活躍されています、サンディーさん。
かつては『サンディー&ザ・サンセッツ』として活躍するミュージシャンでした。
1990年にソロアルバム『MERCY』をリリース。その中に収録されているのが今回ご紹介する【SAKURA】です。
このアルバムにはプロデューサーの1人として、シンガポールを代表するミュージシャン、
あのディック・リーが参加。
この曲の中でも、バックトラックでラップを聴かせてくれています。
さあ、桜のスポットに着きましたら、匂いぞ出づる場所でこの曲をどうぞ。