自動車の関税とは?各国での違い

自動車に関わらず各国はなぜ自国に輸入される製品に関税をかけるのか。
それは国の経済を守るためです。
海外で生産された安い製品と国内で生産された製品……消費者からすれば1円でも安い方を買いたいですよね?
しかし、そうすると利益を得るのは海外の企業ばかり。国内の企業は儲かりません。
すると、低収入の国民が増え、経済の循環が悪くなってしまいます。
結果、国自体が貧乏になってしまう。
各国は輸入される製品に関税をかけ、消費のバランスが輸入商品に偏りすぎないよう調節しているのです。
自動車ももちろん関税対象の商品です。
世界規模で見ても、日本の自動車は他国のものに引けを取りません。そのため、多くの日本車が海外に輸出されています。
輸出をした際に発生する関税。これは輸出先によって異なりますが、低い国では、シンガポールの0%。
高い国ではエジプトの135%です。
また、関税率に細かい規定を設けている国もあり、車社会のアメリカは基本的に2.5%ですが、これは室内容積や気筒数、車高によって率は変化します。
なぜ国によって関税率が違うのか
それは大きく分けて二つの理由があります。
自国で生産している自動車を流通させたい
自国で自動車産業を行っている国からすればどうしても国産の車を売りたいのが本音です。
アメリカを例に挙げれば、トランプ大統領が関税を撤廃するTPP(環太平洋パートナーシップ協定)から離脱するための大統領令に署名をしました。
実はこの撤廃される関税には自動車製品も含まれるのです。
フォード・GM・クライスラーとアメリカは自国で自動車の生産を行っています。
けれど、もし関税が撤廃されたら、他国でメーカーに魅力を感じている消費者がそちらに流れ、自国の経済が大ダメージを受けてしまいます。
しかし、これはあくまで経済を守るため。日本車を排除しているわけではありません。
現にトヨタがメキシコに工場を建設予定との情報が出た時は、メキシコではなくアメリカに工場を作るべきだと声を上げました。
日本からアメリカに輸出する場合、関税は2.5%。ですが、世界にはそれよりも遥かに高い関税を掛けている国が存在します。
例えば、インドやエジプトの関税率はそれぞれ125%や135%とどちらも100%を超えています。
しかも、両国ともに自国で自動車の生産を行っていません。では、なぜ高い関税をかけるのか?
自動車工場を誘致したい
自国に工場を建設するとなると働く人材も必要になってくるため誘致する国の雇用先も増えることとなります。
発展途上国はわざと関税率を高くし、工場を作ってもらえるようにするのです。
この際に重要となってくるのが誘致する国の場所と貿易状況。
理由はターゲットとなる市場が日本から遠く輸出する際の関税が高くとも、海外の工場から近くまたその国からの輸出ならば低い関税率で貿易ができるからです。
例えば、メキシコは大規模な自動車市場を持つアメリカに近く、NAFTA(北米自由貿易協定)、40カ国以上とFTA(自由貿易協定)を締結しているため貿易拠点としてとても魅力的です。
先の項目でトヨタがメキシコに工場を建設したのはこの理由が大きいです。
まとめ
自動車に関税がかけられる理由は2つ。
1つは自国の自動車産業を守るため。もう1つは自国に工場を誘致するため。
自動車は日本の輸出製品の要です。世界中にあるメーカーの中でも引けを取りません。
なので世界中の人々が「高くても日本の自動車を買いたい!」そう思ってくれるような製品の開発されるといいです!